日本政府は24日、2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致に向け、パリの博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)に立候補を届け出た。25年万博にはパリも名乗りを上げており、強力なライバルとなりそうだ。18年11月に開かれるBIE総会で、加盟国の投票により開催地が決まる予定。
立候補申請には木寺昌人駐仏大使ら政府関係者の他、大阪府の松井一郎知事や誘致委員会の榊原定征会長(経団連会長)が参加。榊原氏は申請後の記者会見で「日本が提示する未来社会を見てもらう機会にしたい」と語り、松井知事は「パリは強敵だが、さわやかに戦いたい」と述べた。
BIEのロセルタレス事務局長は大阪について「好奇心が高く革新する能力を持っている」と評しながらも、「各国の主張が総会で評価される」と公正な選定に努める考えを示した。
経済産業省の報告書によると、万博は大阪市臨海部の人工島「夢洲(ゆめしま)」で25年5月3日から11月3日まで開催し、来場者は最大3000万人を想定。ロボットやドローン(小型無人機)も使って未来の社会像を提示する。約1250億円を投じて会場を建設するが、経済効果は約2兆円に上る見通しだ。
松井大阪府知事
2025年国際博覧会(万博)の開催地に立候補した大阪府の松井一郎知事は25日、パリで関係者に大阪開催をアピールした。
松井氏は万博とカジノを含む統合型リゾート(IR)を大阪市沿岸部に誘致し、地盤沈下が続く関西経済活性化の起爆剤とする狙いがある。ただ、万博の事業費負担など課題も多く、誘致決定まで紆余(うよ)曲折が予想される。
万博構想が浮上したのは14年8月で、橋下徹前大阪市長、松井氏が旗を振った。松井氏周辺は「東京で2度目の五輪が決まり、経済が上向いているのを見て大阪でも大きなイベントが必要だと判断した」と打ち明ける。
大阪府が、万博会場に選んだのが大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」だ。大型商業施設建設などの計画が頓挫し、松井氏が「負の遺産」と指摘するなど現在も広大な空き地が広がっている。夢洲には、松井氏が力を入れるIR誘致も計画されており、府幹部は「万博とIRで一体的なまちづくりができる」と期待する。