<政府>カジノ制度設計本格化…実施法案、検討チーム倍増

カジノ法案成立

カジノ解禁に向けた「統合型リゾート(IR)整備推進法」(カジノ法)の成立を受け、政府は年明けにも内閣官房の「検討チーム」の人員を倍以上に拡充し、カジノの具体的な制度設計を盛り込む実施法案の策定を本格化させる。

実施法案の内容は多岐にわたるため、20人弱の現在の態勢では作業が遅れると判断した。政府は来年秋にも法案を国会に提出したい考えだ。

カジノ法は、実施法案を1年以内に策定するよう政府に求めている。菅義偉官房長官も15日の記者会見で「(政府は)法制上の措置をとる必要があり、しっかり準備を進めていきたい」と表明した。

政府は2014年7月、IR担当の内閣審議官を新設。内閣官房に財務省や国土交通省などの職員20人弱からなる検討チームを発足させ、海外の事例調査などを進めていた。今年春にはカジノ法案の停滞で多くの職員を出身省庁に帰したが、超党派のIR議員連盟の議員は「いつでも実施法案の準備を始められる状態だった」と話す。

ただ、今国会の審議では、与野党からさまざまな懸念が出た。衆院では15項目に及ぶ付帯決議を採択。政府に対し、依存症対策の強化や厳格な入場規制、IRの立地数の制限などを求めた。これらの課題解消に向け、厚生労働省などの職員が検討チームに加わる方向で、政府関係者は「2倍以上には増える」と話す。

政府は1月にも、安倍晋三首相をトップとする「IR区域整備推進本部」を新設する。検討チームは推進本部の事務局への衣替えも検討されており、この場合は業務がさらに膨らむ。現行の20人弱を倍増させた後は、段階的に100人規模まで増強する案もある。

一方、与党内には政府の作業を後押しする検討チームなどを設ける案が出ている。自民党の茂木敏充政調会長は15日の会見で「ギャンブル依存症、マネーロンダリング(資金洗浄)の問題など、さまざまな対策を政府とともに考えていく」と述べた。(毎日新聞)