タイ国家改革評議会(NRC)の一部議員が提唱しているカジノ合法化について、タイ国家警察庁のソムヨット長官は17日、積極的に支持する考えを明らかにした。観光振興や税収増などにつながるとして、各方面からカジノ合法化に賛成する意見が出る一方、懸念の声も上がっている。
18日付各紙によると、ソムヨット長官は、タイはレストラン、観光地、エンターテインメント施設、商業施設などが充実しており、カジノを運営するための条件を備えていると指摘。定年退官となる今年9月末の1カ月前に記者会見を開き、カジノ合法化支持を宣言するとともに、大衆の意見を聞くために個人的なウェブサイトを開設する計画を明らかにした。
積極支持を表明する一方、財力がある人物に限定して入場を認めることや、居住地域のカジノには入場できないようにすることなど、入場規制を敷くべきとの考えも示した。仮にバンコクにカジノが開設された場合、バンコク住民はバンコクのカジノには入場できないが、他県のカジノには入場できるようにする。
予想される市民グループの反対に対しては、合法カジノを開設しないかぎり、非合法カジノが蔓延するとして、屈することはないと主張した。
プラユット首相は、カジノ合法化について、政府はいかなる立場も取っておらず、国民が決定するべきとの考えを示した。ティエンチャイNRC議長は、NRCが取り組むべき問題ではないとの姿勢を貫いている。
■ 初年度に収入1.5兆円見込み
18日付ネーションによると、私立ランシット大学の社会イノベーション・カレッジの校長を務めるサンシットNRC議員は、タイがカジノを開設した場合、初年度に最大4,000億バーツ(約1兆4,600億円)の収入が見込めるとの試算を明らかにした。
カジノを開設する場合は、観光インフラが整っているとして、最初に東部リゾートのチョンブリ県パタヤに開設するべきとの考えも示した。入場規制については、30歳以上で、月収30万バーツ以上に許可すべきとの意見だ。
バンコクポストによると、ギャンブル撲滅運動を行う市民グループ「ユット・パナン(ストップ・ギャンブリング)・ネットワーク」のタナコン代表は、月に2回抽選が行われる宝くじと異なり、カジノはリスクが大きく、深刻なダメージをもたらすことになると主張した。
NRCのシラ議員も、カジノ開発に充てる予算は全県にスポーツ施設を建設するなどのスポーツ振興に充てるべきと述べ、反対する考えを明らかにしている。
アナンNRC議員をはじめとする「ラックチャート(国家を愛する)・グループ」を結成した12人のNRC議員が15日、カジノを合法化するために法律を改正し、最初のカジノをパタヤに開設することを提唱した。貧困対策、国家開発のための政府収入の増加につながると指摘している。
タイではカジノは非合法だが、隣接する4カ国では合法化されており、計22カ所のカジノが開設されている。(nna)