カジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備構想をめぐり、横浜を候補地の一つとして政府が検討を始めた。全国の複数自治体がカジノ誘致に名乗りを上げる中、菅義偉官房長官は「首都圏で一つ(整備すべき)と思っている。横浜は有力な候補地だ」と言明した。安倍政権はIRを「成長戦略の目玉」に位置付けており、林文子横浜市長や地元経済界も誘致に意欲を示している。
「羽田空港からのアクセスが容易で、岸壁を整備すれば大型クルーズ船の接岸も可能」。政府関係者は地元で浮上している横浜港の山下ふ頭(同市中区)にIR施設を整える構想について、こう評価する。京浜急行電鉄がIR運営の参入を検討していることも念頭に、コンソーシアム(共同組織体)からの提案内容に期待する意向を示した。
IRの立地には首都圏のほかに、大阪や沖縄も候補とみられていた。だが2014年11月の沖縄県知事選で当選した翁長雄志知事が、同12月の県議会本会議で「導入は考えていない」と否定的な姿勢を示しており、沖縄は候補から外れる可能性が出ている。東京都の舛添要一知事も20年東京五輪の準備を優先させる構えで、東京でのカジノ構想には慎重な姿勢をとっている。
カジノを推進する超党派の国会議員連盟は、カジノ解禁の最初の認定区域について「国内で2、3カ所程度」で限定的にし、影響などを検証しながら段階的に増やすなどとする基本的考え方を提示。14年6月に衆院で審議入りしたIR整備推進法案は衆院解散で廃案となったものの、15年の通常国会に再提出される見通し。法案が成立すれば、その後に立地や実施法の整備が検討される。
地元では、林市長が「横浜のウオーターフロントの開発や経済成長の観点から選択肢の一つ」とIR誘致に意欲的で、経済界も「横浜は地理的条件も良く、場所もある」(佐々木謙二横浜商工会議所会頭)などと前向きな姿勢を示している。一方で、施設への入場規制のあり方やギャンブル依存症への対応などの課題も指摘されている。(神奈川新聞)
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