カジノ複合施設誘致 千葉VS成田の様相

カジノを主要な収益源とする複合施設(IR)の誘致に関し、県のプロジェクトチーム(PT)が月内にも発足する見通しとなった。

東京都の石原慎太郎知事らが提唱するカジノ構想の是非を含めた検討が、県内でも正式にスタートする。これまでは成田空港周辺への誘致に成田市の地元経済界が熱を入れてきた。ここにきて幕張新都心の名が候補に挙がり始め、早くも「千葉VS成田」の様相を帯びている。(小沢伸介)

県は五月に、成田空港周辺へのカジノを含むIRの誘致に関し、経済波及効果などの調査結果をまとめた。ただ森田健作知事は県議会で六月、誘致の是非は「各地域のIRの可能性を幅広く検討する」と述べ、空港周辺に限定せず、県全域を対象に可能性を検討する考えを明らかにした。

知事発言を受け、焦りを募らせているのが成田市の地元経済界だ。すでに「IR誘致推進協議会」(会長・諸岡孝昭成田商工会議所会頭)も発足させている。

成田市では、IRを地域産業の起爆剤として期待する声が経済界に強い。会員数も当初の四十八から約八十に増えている。ただ小泉一成市長は誘致に慎重姿勢を見せている。

先月二十五日にあった成田商工会議所の通常総会では、諸岡会長が「正々堂々と戦って敗れるならともかく、エントリーできなければ不戦敗。こうなったら、市長に意志を固めてもらわないと」と述べた。幕張を意識し、小泉市長に方針転換を促したものだ。

一方、千葉市はまだ、誘致に具体的な行動を起こしているわけではない。だが熊谷俊人市長は記者会見で、成田へのIR誘致に関し「カジノは人を集めやすい場所につくるのが基本という印象。成田だと母数が足りないと思う」と指摘。市の担当者は幕張を「それなりに可能性のある場所」と集客の優位性を暗にアピールする。

ただ、そもそもカジノは国による合法化が前提で、まだめどは立っていない。県による検討は合法化が実現した場合、国が指定するIRの設置地域として名乗りを上げる準備と位置付けている。

カジノには治安の悪化などの懸念も指摘されている。実際の誘致には「市民のコンセンサスを得る議論が必要」(小泉市長)といった意見もあり、曲折がありそうだ。(東京新聞)




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