マカオ経済の屋台骨となっているのが、カジノを主としたゲーミング(ギャンブル)産業だ。マカオにはカジノ以外にも、競馬、スポーツくじ、ロトなどのギャンブルが存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。
マカオ政府統計調査局は9月8日、昨年(2022年)のマカオのゲーミング業調査結果を公表。調査は主にゲーミング事業に関する統計データを収集したもので、調査対象企業が運営するホテル及びリテール事業に関するものは含まれない。
同年のマカオのゲーミング事業者数は前年と同じく9社だった。マカオは同年末までゼロコロナ政策を維持し、年内にロックダウンに準ずる措置が講じられ、インバウンド旅客数が低迷したことなどを受け、業界の年間総収入は前年から49.2%減の462.0億パタカ(日本円換算:約8437億円)に。対前年マイナスとなるのは2年ぶり。収入のうちゲーミング収入は51.5%減の421.2億パタカ(約7691億円)。
業界の総支出は前年から24.7%減の403.1億パタカ(約7361億円)。業界における営業モデルの変化(註:ジャンケット系VIPルームの大量閉鎖)による影響で、購買・コミッション・顧客へのリベートが66.6%減の37.3億パタカ(約681億円)にとどまったのが主要因。また、営業費用が34.9%増の94.2億パタカ(約1720億円)、従業員支出についても7.2%減の188.1億パタカ(約3435億円)となった。営業費用のうち、いわゆるコンプ(ホテル宿泊、飲食、商品、サービス等の顧客への無料提供)費用は43.1%減の42.0億パタカ(約767億円)、マネジメントサービス/第三者提供サービスについても32.1%減の16.1億パタカ(約294億円)。このほか、利息支出が22.0%増の54.4億パタカ(約993億円)に膨らんだことで、営業外費用が8.9%増の83.6億パタカ(約1527億円)に。
業界の経済貢献を示す付加価値総額は51.6%減の303.7億パタカ(約5546億円)。税引き前(ゲーミング特別税等)の業界の利益は72.8%減の115.6億パタカ(約2111億円)、利益率は21.5ポイント下落の26.6%、経費利益率は56.4ポイント下落の36.2%で、経営効率は前年から顕著な悪化。このほか、業界の総固定資本形成額は83.5%減の43.6億パタカ(約796億円)だった。
なお、今年(2023年)については年初にウィズコロナ転換による水際措置の大幅緩和が実現し、インバウンド旅客数とカジノ売上が急回復している状況。