2018年のカジノ法案(IR整備法)成立後、国内初のカジノ開業に向けて、いよいよ各候補地が動きを見せ始めました。
IRに関するニュースを目にする機会も増えてきたことから、「いつ、どこにできるのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
日本最初のカジノ開業の候補地は、最大3か所と国によって定められており、各自治体が誘致のために準備を進めています。
カジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致を希望する自治体は、都道府県・政令指定都市が主体となって、国に認定申請を行うことができます。 国は各自治体からの申請を受けて計画内容を審査し、2023年ごろにIR開業の候補地を正式決定する予定です。
日本最初のIR誘致を目指している自治体は、2021年10月1日~2022年4月28日までに、IRの区域整備計画を作成し、国に申請を行う必要があり、すでに申請は締め切られています。
最終的に区域認定申請を行った自治体は、大阪府・市、長崎県の2か所となりました。
これまで様々な自治体が準備を進めてきましたが、有力候補とされていた横浜市は、2021年8月の横浜市長選挙でカジノ反対派の市長が当選したことから誘致を撤回。また区域認定の直前まで尽力してきた和歌山市は、2022年4月の県議会で否決となり撤退を余儀なくされました。
最終候補として残った大阪・長崎も、資金問題などの大きな課題が残されています。
大阪府・市は、カジノ法案が話題として取り上げられるようになった当初から、IR開業候補地として名乗りを上げていた自治体のひとつです。
「万博」+「IR」のセット誘致を掲げて注力してきた結果、2025年の万博候補地に選出されました。
当初は万博と同時期にIRを開業させたいと考えていた大阪ですが、新型コロナウイルスの影響や国のスケジュール遅延により、2025年の全面開業は断念。「2020年代後半に部分開業」と方針を変更しました。
さらに大阪IRへの参入意思を示していた7事業者中6者が横浜への参入に転向、最終的に応募事業者はMGMリゾーツ・オリックスの合同チームの1者のみとなりました。
それでも「引き続き協議を進めていきたい」と前向きな姿勢を見せていた大阪は、2021年9月にMGM・オリックス コンソーシアムを正式に事業予定者として選定しました。
強み
・関西国際空港があり海外からのアクセスが良好
・夢洲の広大な土地を有効活用できる
課題・問題点
・建設地となる夢洲の地盤に懸念点がある
・夢洲への大幅な交通インフラ整備が必要
大阪IRのコンセプトと事業効果
MGMは大阪IRのコンセプトとして、人や産業などあらゆるものを結ぶ役割としてのIRと、大阪の伝統・文化・精神の継承を意味に込めた「結びの水都」を提案。
約1兆800億円を開発予算として投じ、テーマを変えた3ブランドのホテル建設や、MICE施設の強化などが計画されています。
カジノ施設の詳細な内容についてはまだ公表されていませんが、IR施設全体の延べ面積約77平方メートルのうち3%以内の広さとなる予定です。
MGMによるとIR全体の年間来場者数は約2,050万人、年間売上は約5,400億円を見込んでおり、このうちカジノ納付金・入場料などで府・市が得られる収入は年間約1,100億円と試算されています。
大阪のIR建設予定地「夢洲(ゆめしま)」の場所はどこ?
夢洲は大阪市此花区にある人口島で、元々はごみ処理場として利用するために埋め立てられた土地でした。
1980年代に夢洲一帯の人口島を有効活用すべく開発計画が持ち上がったものの、計画が頓挫したという過去があります。さらに、2008年のオリンピック誘致の際にも、競技場や選手村として利用する計画もありましたが、誘致は失敗。
長らく活用方法がなかった夢洲は、「大阪の負の遺産」とまで言われてきました。
2025年の万博誘致が決まりIR候補地にもなった今では、土地の有効活用と経済効果が期待されています。
その一方で地盤沈下の危険性や基準値を超える汚染物質の検出など、埋立地ならではの問題も抱えています。
また、IR候補地とするにあたり、アクセス面での問題も懸念されています。
現在、夢洲までの延伸が決まっている地下鉄中央線は、梅田・難波などの繁華街に乗り入れておらずアクセスが不便であるほか、駅周辺の整備事業に応募する民間事業者がないなど交通網の整備も課題となっています。
大阪にIR・カジノができるのはいつ?今後のスケジュール
大阪は当初、万博に合わせた2025年の全面開業を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け選定プロセスが遅延したことにより、開業予定を延期。
2021年9月に事業者を正式に選定し、現在は区域整備計画の作成を行っていますので、来年4月までに国へ申請した後、無事に候補地として認定されれば2020年代後半の開業となる予定です。
大阪IRにおける有力事業者「MGMリゾーツ・オリックス」とは?
MGMリゾーツはラスベガスに拠点を置く企業であり、世界各地でホテルやカジノ、エンターテイメント施設などを運営しています。
運営施設数は29件以上、年間売上は約1兆円以上とIR分野での十分な実績があり、現在では日本でのIR事業参入を見込んで東京・大阪にも支社を設立。
横浜がIR誘致に参戦した際に、ほかの事業者が続々と大阪から撤退した中でも、変わらず大阪を選択し続けた唯一の企業です。
また、コンソーシアムとして参加するオリックスは関西で空港や球場などの運営に携わっているほか、大阪駅前の大規模開発プロジェクトである「うめきた2期」にも開発企業として参加しています。
地元大阪で十分な基盤を築いていることから、今後は複数の関西企業もコンソーシアムに参加するとみられています。