マカオでは、現行カジノ経営コンセッション(カジノライセンス)の満期(2022年12月31日まで)に伴う次期ライセンス(契約期間最長10年、最大6枠)の入札手続きが進められている。
入札は9月14日に締め切られ、現行ライセンス事業者6社に新規参入1社を加えた計7社が入札書を提出し、同月16日の開札を経てすべて受理された。以降はマカオ政府のカジノ経営コンセッション競争入札委員会による入札参加社との協議、諮問及び審査が進めてられてきた。
11月26日午前、次期カジノライセンスの暫定発給先(内定)リストが行政長官令として発出され、これに合わせて入札委による記者会見も行われた。
内定したのは6社で、総合評価点順で下記の通りとなった。
1. MGM Grand Paradise Limited
2. Galaxy Casino Company Limited
3. Venetian Macau Limited(サンズグループ)
4. Melco Resorts (Macau) Limited
5. Wynn Resorts (Macau) Limited
6. SJM Resorts, Limited
6社はいずれも現行ライセンス事業者。新規参入のマレーシアを本拠とするGenting Group(ゲンティングループ)は7位で選外に。
今後、入札委と内定6社との間で具体的なコンセッション契約内容に関する協議が行われ、今年末までにライセンスの正式発給、契約締結に至り、2023年1月1日から改正カジノ法及び新ライセンス下でのカジノ運営がスタートする流れとなる見通し。
なお、現行ライセンスは本ライセンスの3社にサブライセンスの3社がぶら下がる形態(SJM-MGM、Wynn-Melco、Galaxy-Venetian)だが、次期ライセンスは6社が政府と直接契約を結ぶことになる。総合評価点を見ると、MGMとMelcoが下剋上を果たし、かつてマカオのカジノライセンスを独占していたSTDMをルーツに持つ老舗のSJMは最下位に沈んだが、STDM創始者である「カジノ王」スタンレー・ホー氏が2020年に亡くなり、MGMとMelcoを率いるのがその娘(パンジー・ホー氏)、息子(ローレンス・ホー氏)というのが象徴的だ。SJMも娘のデイジー・ホー氏が継承しており、依然としてホーファミリーが6枚のライセンスのうち半数を握る状況は少なくとも今後10年続くことになる。
評価基準については、入札委が事前に(中国本土以外の)海外からの誘客計画、運営経験、マカオ経済にメリットをもたらすカジノ及びノンゲーミングプロジェクトへの投資計画、カジノ施設内における違法行為に対する監視・予防策、社会的責任の履行のほか、(再入札に向け改正を行った)ゲーミング法に規定された国家安全要件との符合を考慮することを明らかにしていた。委員会主席の張永春マカオ政府行政法務庁長官は26日の会見で、特に「ローカルスタッフの雇用の安定確保」、「海外旅客ソースの開拓」、「ノンゲーミング要素の発展」の3つを重視したことを明らかにした。ただし、具体的な総合評価点数は当事者のみに知らせる非公開が望ましく、順位を公表するにとどめるとした。また、内定した6社がコミットした投資額や計画の内容の公表については、正式契約締結後となる見通し。このほか、次期ライセンス下ではゲーミングテーブルとゲーミングマシンの上限数がそれぞれ6千台、1.2万台に設定されるが、各種要素を考慮した上で適宜配分するとのこと。