マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られる。
しかしながら、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症防疫対策の一環で入境制限を含む厳格な水際措置が講じられた影響を受け、インバウンド旅客数が激減。一方で、同年第3四半期以降にかけて両地の間の往来制限は段階的に緩和され、隔離検疫なしでの相互往来が再開したことから、インバウンド旅客は中国本土からが主となっている。
昨年通期のインバウンド旅客数は前年から30.7%増の770万5943人だったが、新型コロナの影響が生じる前にあたる2019年との比較では8割超のマイナス。全体に占める中国本土旅客の割合は91.4%。今年1~9月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から24.2%減の436万4105人。内訳は、日帰り旅客が8.2%減の261万9343人、宿泊を伴う旅客が39.9%減の174万4762人で、約9割が中国本土旅客。今年は中国本土各地で再流行が散発し、マカオでも6月中旬から8月初頭にかけて大規模な流行が出現したことなどがインバウンド旅客の動向に影響を及ぼしているとされる。
マカオ政府統計調査局は11月17日、今年第3四半期(2022年7~9月)の旅客消費調査(ギャンブル消費を除く)結果を公表。旅客総消費額は前年同期から39.7%減の29.0億パタカ(日本円換算:約503億円)だった。マカオにおける新型コロナ流行の出現によりインバウンド旅客数が約5割減となったことによる。内訳は宿泊を伴う旅客が37.6%減の26.3億パタカ(約457億円)、日帰り旅客が54.6%減の2.6億パタカ(約45億円)。今年1~9月累計の旅客総消費額は前年同時期から26.5%減の133.4億パタカ(約2316億円)。
今年第3四半期の旅客1人あたりの平均消費額は22.7%増の3222パタカ(約5万5900円)。内訳は宿泊を伴う旅客が14.5%増の5717パタカ(約9万9200円)、日帰り旅客が1.8%増の601パタカ(約1万0400円)。中国本土旅客に限ると22.6%増の3183パタカ(約5万5300円)で、個人旅客については3.9%増の6145パタカ(約10万6700円)に。
また、今年第3四半期の旅客消費の64.7%をショッピングが占め、以下は宿泊が17.9%、飲食が11.9%と続いた。旅客1人あたり平均のショッピング消費額は30.0%増の2084パタカ(約3万6200円)で、主な購入品目別では化粧品・香水が646パタカ(約1万1200円)、ハンドバッグ・靴類が377パタカ(約6500円)、衣料品が280パタカ(約4900円)。渡航目的別ではバケーションを目的とした旅客の1人あたり平均消費額が最も高く、5841パタカ(約10万1400円)で4.8%増。ショッピング目的は60.3%増の4838パタカ(約8万4000円)、親族訪問目的は41.4%減の1127パタカ(約1万9600円)。