IR誘致の大阪府 ギャンブル依存症対策の条例成立 全国初か

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カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致が進む大阪の府議会で26日、ギャンブル依存症対策を推進する条例が可決、成立した。大阪維新の会が提案し、自民党や公明党などが賛成した。府によると、ギャンブル依存症対策に特化した条例の制定は全国初とみられる。

条例によると、依存症対策を総合的・計画的に推進するために知事が本部長の「推進本部」を設置する。府はギャンブル依存症対策基本法に基づいて推進計画を策定しているが、その変更時には専門家や支援団体メンバーらでつくる推進会議の意見を聞くことを求める。対策資金を積み立てる基金も新設する。吉村洋文知事はこの日、記者団に「年内に推進本部を立ち上げたい」と述べた。

依存症対策を巡っては、自民も5月議会に条例案を提出していた。対策における府の責任を明確にし、依存症患者や家族らへの支援を盛り込んだものだったが、維新や公明などが「国と府の役割、財源などが不明瞭」と反対して否決された経緯がある。今回成立した条例は、維新による対案との位置づけだ。自民も5月議会と同じ内容の条例案を改めて提案したが、維新や公明などの反対で再度否決された。

IRは府と大阪市が誘致を進めている。整備計画を国が認定すれば、大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市)で2029年秋~冬ごろに開業する予定。条例制定は認可の条件ではないが、カジノ開業に伴うギャンブル依存症対策が課題の一つになっている。【澤俊太郎】