大阪IRへ人材育成が加速 専門学校や米企業

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大阪府と大阪市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐり、目標とする令和11年の開業に向け、カジノで働く人材を育成する動きが加速している。専門学校はカジノディーラーやカジノフロアの責任者を目指す学生の受け入れ態勢を強化。米企業は関西の大学と連携しリーダー層を養成する。

「大阪のIRは約2千人のディーラーが必要になるといわれるが、まだまだ人材が足りていない」。大阪と東京で教室を開く「日本カジノスクール」の広報・高橋玲奈氏は説明する。

スクールは日本初のディーラー専門養成機関として平成16年に開校し、昨年3月までに約900人が卒業した。このうち約2割が海外のカジノで働くが、換金できない合法のアミューズメントカジノで腕を磨きながら、国内のIR開業に備える人も多いという。

新型コロナウイルスの感染防止のため体験入学イベントを自粛した影響もあり、昨年度の入学者は約50人と3年前の3分の1にとどまった。

巻き返しを図るため、今年度は体験入学を再開。オンライン動画教材も導入し、トランプやルーレットを扱う実技や、外国人の接客に使う「カジノ英会話」など全ての授業を見られるようにしている。

高橋氏は「海外では1フロアに500テーブルを設置するカジノもある。大阪も大規模な施設になるとの話もあり、ディーラーだけでなくセキュリティー部門などの人材育成も急務だ」と指摘。今後、スクールでは、ディーラーを管理する責任者の育成コースの受け入れ態勢も充実させる。

一方、大阪・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)での施設運営を担う「大阪IR株式会社」の中核株主、米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナル日本法人は大学生向けの研修プログラムについて、5年から、本場の米ラスベガスに学生を招いて運営の仕組みなどを学ばせる現地研修を再開する方針だ。

MGMは2年から研修プログラムを行い、この年には現地研修も実施。ただ、コロナ禍で3年以降は現地研修をおこなえていなかった。

今年3月には、関西学院大や近畿大などの学生約50人に対し、オンライン研修会を実施。エドワード・バウワーズ社長は「IRは人々に感動と驚きを与える、やりがいのあるビジネスだ」と訴えた。(井上浩平、黒川信雄)