今年5月の山口県阿武町での誤送金問題からオンラインカジノ、すなわちインターネットを介してスマホ等を用い、実際にお金を賭けて賭博を行う行為ですが、その利用者数について話題になっていました。ネットを通してでも国内から賭博行為を行うことは違法であり、検挙される可能性があるにも関わらず、その利用者数が100万人以上と記されていて、驚いた方も多いことでしょう。もちろん、毎日、あるいは毎週末にオンラインカジノに入り浸っている常習的な人が100万人以上ということではありません。年に1回でもオンラインカジノを利用した人の数が100万人以上ということです。1990年代中頃、パチンコファンが3,000万人以上と言われていました。もちろん、当時でも3,000万人が毎日パチンコに興じていたわけではありません。年に1回でもパチンコのホールに入って興じた人が3,000万人以上というだけです。現在、パチンコファンは800万人程度まで落ち込んでいます。
オンラインカジノに年1回でも興じた人が100万人以上いるとしても、素直に納得する人は必ずしも多くないでしょう。一人一人数えたわけではありませんが、100万人以上いるということはほぼ確実なのです。その根拠を説明しましょう。
元々、100万人という数字は私が最初に言い出したわけではなく、次の記事:
国内利用者288万人!コロナ禍で日本を蝕むオンラインカジノ業者
が100万人以上の数字を掲げていました。ただし、この記事が根拠ではなく、当初、大いに疑問に思いました。年に1回の利用としても、288万人は多すぎる、100万人でも信じられず、実際の数値を自分独自で検証しようとしたわけです。
まず、オンラインでの賭博関係の調査資料として、2019年に発行されたEdison Investment Research 社のレポートがあります。その資料の中で、2018年に日本国内でのオンラインを利用した賭博全般の利用者は10%と見込まれています。ただしこの数字は、いわゆるオンラインカジノの利用者だけでなく、公営ギャンブルである競馬等のインターネット投票を含んでいます。この中の1割としても100万人を超えることになります。また2022年2月にアミューズメントプレスジャパンとシーズリサーチ、エンタテインメントビジネス総合研究所が共同で、全国の生活者3万7千人以上を対象に実施した調査結果によると、公営ギャンブルである競馬において、その投票券をネット購入した経験がある人はほぼ10%で、競輪、ボート、オートレースも4%~3%であることを考えると公営ギャンブル全体でも少なく見積もって10%と考えられます。またこの調査ではオンラインカジノに対する調査もおこなっていて、2.7%という数字が与えられています。この数字を鵜呑みにすれば200万人以上となります(成人人口の割合とすれば)。
また、日本からの参加が比較的多いと言われるVera John Casinoのユーザ数(登録数)が160万人以上(2019年)と言われていることから、その20%として40万人近くになります(先の調査資料のp.17より)。2019年で年率14%以上の伸びであって、コロナ禍でそれ以上の増加(少なく見積もって2倍の増加率)をしていることから、Vera John Casinoだけで、国内のユーザ数は60万人程度にはなっているでしょう。他の20社以上のカジノサイトも積極的に日本語化によるサービスを拡張していることから、全体で100万人以上という数字は十分信頼できると考えられます。