カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致で、長崎県は10日、佐世保市のハウステンボスにIRを設置・運営する事業者を選ぶ審査で、「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)を優先交渉権者に選定したと発表した。
県は月内にも基本協定を結び、CAIJを設置運営事業予定者とする方針。IRを巡っては、大阪府・市、横浜市、和歌山県も誘致を表明しており、国は最大3カ所を認定する。
CAIJは、オーストリアの国営企業傘下にあり、グループ全体で世界35カ国に215のカジノを設置した実績がある。県は選定理由を「経験に基づく事業実現の可能性が評価された」などと説明。提案内容や投資規模などは「協定の締結前」とし、現時点では明らかにしなかった。県とCAIJは基本協定を結んだ後、共同で区域整備計画を作成し、来年4月28日までに国へ申請する。
CAIJは取材に「安心、安全な九州・長崎IRの実現に向け、鋭意まい進する」とコメントした。
県は1月に事業者を公募。国内外の5者(グループ)が応募し、1次審査で3者に絞った。2次審査はプレゼンテーションなどがあり、事業戦略や財務力、運営実績、ギャンブル依存症対策などを採点した。
次点は香港企業などでつくる「オシドリ・コンソーシアム」。オシドリ側は6日、「(審査が)倫理的かつ公平公正に実施されない限り、参加を取りやめる」と発表したが、県は「先方に確認中。審査結果に影響はなかった」としている。
優先交渉権者が決まり、中村法道知事は「国の認定を獲得できるようしっかり準備を進める」、朝長則男佐世保市長は「(CAIJを)まちづくりのパートナーとして歓迎する。市民に丁寧に説明しながら推進する」とコメントを出した。