カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致は中止になるのか?
横浜市長選は22日投開票され、新顔で元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)=立憲民主推薦=が、新顔で元国家公安委員長の小此木八郎氏(56)や現職の林文子氏(75)らを破り、初当選を確実にした。林氏が進めた横浜港へのカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致に「反対」を訴えており、誘致は中止される見通しだ。
元自民党衆院議員の小此木氏は閣僚を辞し、IR誘致の中止を掲げて立候補。横浜を地盤とする菅義偉首相は官房長官時代からIR政策に注力してきたが、野党系市長の誕生を阻止することを優先し、小此木氏を支援してきた。IR誘致の中止とともに、小此木氏の敗北は菅首相にとって、二重の痛手となった。
林氏が2年前に決めたIR誘致への反発は強く、市民団体が誘致の是非を問う住民投票条例の制定を求めた署名活動では、20万筆近くが集まった。
立憲民主はIR反対勢力の幅広い結集を目指し、山中氏を擁立。過去3回の市長選で林氏を支援した連合神奈川が推薦し、共産、社民も支援した。山中氏は臨床統計学が専門で政治経験はなく、知名度の低さが課題だったが、新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、「コロナの専門家」とアピールし、無党派層にも支持を広げた。
小此木氏は地元の自民党市連が候補者を絞りきれない中で立候補表明。市連は推薦を模索したが、「IR反対の人を応援できない」と市議の一部が反対し、自主投票となるなど、支持層を固められなかった。同様に自主投票とした公明も、地元議員が小此木氏を支援した。
4選を目指した林氏は、いったんは自民党市連から多選などを理由に引退を促されたが、IRに期待する経済界の一部から要請されて立候補。自民党市議の一部も支援したが、幅広い支持は得られなかった。
IR誘致の是非が争点として注目され、反対6人、賛成2人の計8人が乱立した。誘致に反対した元長野県知事の田中康夫氏(65)、元神奈川県知事の松沢成文氏(63)らは及ばなかった。(朝日新聞社)