巨大「IRカジノ」は日本経済の足かせに
オンライン化とコロナ直撃、ハードの時代終焉
日本での統合型リゾート施設(IR)事業に意欲を示し、進出競争のトップランナーと目されていた米カジノ大手ラスベガス・サンズは5月、「目標達成は困難だ」として日本撤退を宣言した。同業の米ウィン・リゾーツも8月、横浜事務所を閉鎖。米MGMリゾーツ・インターナショナルは第2四半期決算報告会で、オンラインギャンブル路線の強化を鮮明にし、対日投資は「相応のリターン」があればとトーンダウンした。
世界のカジノ市場は、新型コロナ感染で壊滅的打撃を受けている。浮き彫りになりつつあるのが「地上型カジノ」(ランド・カジノ)の構造的収益性の喪失だ。巨大ハコモノ施設による集客とカジノへの誘導で収益化を図るビジネスモデルの終焉が今、確実に始まっている。オンラインへと軸足が移る中、日本が「成長戦略」の要と期待するIRを巡る環境は厳しさを増しているのだ。(静岡大学教授=鳥畑与一)
▽パンデミック下の苦境
世界最大のカジノ市場マカオでは2月初旬に全ての営業を停止。2週間後に再開したものの、前年比90%以上のカジノ収益減が続いている(表1)。感染防止対策で外国人観光客の入国が禁止され、中国本土などからの客も2週間隔離されることからマカオを訪れる人が前年比99%以上、減少し続けているためだ。
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