カジノを含む統合型リゾート(IR)の香港大手、ギャラクシー・エンターテインメント・グループのテッド・チャン日本地区最高執行責任者は23日、大阪市内で産経新聞社のインタビューに応じた。チャン氏は大阪IRへの参入意欲を示す一方、政府方針を見定めつつ、他都市も含め参入地域を慎重に絞り込む姿勢を強調した。(黒川信雄)
--大阪府市が年末にも開始するとみられるIR事業案の正式募集(RFP)に応じる考えか
「IRの参入プロセスには、できる限り多くの地域で参加したい。大阪のRFPに応じるかは大阪と、他都市の事業者選定プロセスがどのタイミングで行われるかが、重要な決定要素となるだろう。仮に大阪と他都市の入札時期が近すぎれば、両方に同時に対応することはできない。そうなれば、どちらの地域がより好ましいか、選ばなくてはならない」
--大阪で万博前の開業を実現するには、部分的な開業から開始せざるを得ないのか
「IR開設の承認と、実際の工事の開始の間の時間は、非常に限られたものになる。建設プロセスではどのようなミスも許されない。事前の入念な調整が必要だろう。また、部分開業をめぐる政府のルール作りも重要だ。部分開業した場合、カジノ面積をIR全体の3%に留めるという規制はどうなるのか。そういった点も明確にならなくては」
--夢洲への交通インフラをどうみる
「地下鉄路線だけに頼るのは不十分だ。道路なども改善が必要だろう。政府が議論を主導すべきと思う。海上ルートの開発なども必要と思う」
--大阪には当初、7事業者が参入意欲を示していたが、現在は3事業者となった。なぜ各社は撤退したのか。ギャラクシーが大阪に残る理由は
「他社のことは言えない。すべての企業が経営哲学を持っている。われわれは残った。それが、株主にとっても正しい判断だと考えるからだ。大阪と周辺地域の人口は2千万人規模で、単純に撤退できる規模ではない。状況を入念に推し量らなくてはいけない」
--ギャラクシーの別の経営幹部が最近、日本企業との提携合意が間近だと発言した
「コメントできない。ただわれわれがパートナーとなる企業に求めるのは、われわれを助けてくれることだ。地域、市場、政府を理解するうえでだ」
--香港情勢をどうみる
「マカオを訪れる観光客中、香港からの客は全体の15%程度だが、カジノ訪問客のなかではその数はさらに少ない。ただ、人数や収益への影響以上に、人々の心情に影響を与えることを懸念している」(産経新聞)