カジノ巡り賛否噴出 「もっとアクセル」賛成派 「住民不幸にする」反対派 千葉市のIR構想募集

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致で、千葉市の検討レベルが1段階上がることになった。熊谷俊人市長はIR受け入れの判断を示していないが、同市は23日、民間事業者に情報提供を求めると発表。IR整備の賛成派は「アクセルを床まで踏んでほしい」と促進を期待する一方、反対派は「IRは住民を不幸にする」「ギャンブルでのまちづくりはあり得ない」と厳しい。

幕張新都心の企業でつくる任意団体「幕張新都心MICE・IR推進を考える会」は県や千葉市に整備を求める要望書を提出。勉強会なども開いている。同会共同代表で総合デザイン会社「フォルム」の松本有社長は「幕張メッセ周辺の今後の発展には民間の資金を活用できるIRが必要」と強調。「千葉市の動きはゆっくりしている。もっとアクセルを踏んで」と要求した。

松本社長もメンバーの一般財団法人「ちばの未来」はIRの独自構想を公表。東京湾のメガフロートに大型客船用桟橋などを整備するとしており、松本社長は「成田、羽田両空港にも近い」と幕張新都心の地理的な優位性を説明した。

市議会は2013年12月、IR整備を推進する決議を賛成多数で可決。IR議員連盟会長の森茂樹市議(自民)は「東京五輪後の地域活性化が課題。IRは税収や雇用などで地域への貢献が期待できる。マイナス面もあるので反発もあるだろう。議連として市民への情報提供などに努めたい」とコメントした。

IR整備反対の福永洋市議(共産)は「IRは住民を不幸にする。ギャンブルで都市の再生なんてあり得ないし、幕張に似合わない。キャンブルの依存症対策が必要というが、それならIR自体をやらなければいい」と明快だ。

松井佳代子市議(市民ネット)も反対を明言。「市の発表は何を事業者に求めているのかよく分からず、詳しく確かめたい」としつつ「幕張新都心は住宅街や文教地区もある。経済活性化だけを名目に地元住民の合意もなく、社会的に問題がある施設の整備を進めるべきではない」と述べた。

約90店が加盟する幕張ベイタウン商店街振興組合の山根治仁理事長(81)は「商店街としてはIRが活性化につながるのであれば賛成だが、ギャンブル依存症への懸念から反対の住民も多い。今のところどんなメリットがあるのかはっきりしないので、どういう利点があるのか見ていきたい」と提案内容を見定める考えを示した。

◆担当課長ポスト新設

千葉市は23日、幕張新都心課内にIRを含む幕張新都心の活性化策を調査する担当課長のポストを8月1日付で新設すると発表した。同日付で係長級ら5人の職員も配置する。

◆千葉市人事(2019年7月1日付)

【課長級】幕張新都心課調査担当課長(幕張新都心課長補佐)志村佳貞

 

千葉日報