フィリピン政府は、公営カジノの民間への売却を進める方針だ。同国のカルロス・ドミンゲス財務相は、国営フィリピン娯楽賭博会社(PAGCOR)が運営するカジノを早ければ2018年から順次売却する意向を示した。PAGCORを本来の規制当局としての役割に専念させることなどが目的だ。現地紙マニラ・タイムズなどが報じた。
現在、PAGCORは北イロコス州のフォートイロカンディア・リゾートホテルなど直営17カ所と、民間との合弁事業などによる46カ所でカジノを運営している。ドミンゲス財務相は、第1段階として直営カジノ17カ所の売却を進めるとした。
これら17カ所の売却についてはすでにソレア・リゾート&カジノを運営するブルームベリー社やシティ・オブ・ドリームス・マニラのメルコリゾートなどが興味を示しており入札参加を検討している模様。
財務省は今後、直営カジノの規模や施設、運営状況などを個別に調査して評価額の査定などを行い、売却方法を決定する。すべての調査は年内に終了させる予定で、早ければ18年から売却手続きが開始される見通しだ。
PAGCORは政府が所有する会社として、純利益の半分以上を国庫に納めるよう定められている。17年1~3月期のカジノ収入は前年同期比27%増の約140億ペソ(309億円)で、財務省に約65億ペソ、内国歳入庁に約16億ペソを納めた。
売却が歳入減につながるとの指摘もあるが、ドミンゲス財務相は「そもそも国の運営するカジノが民間のカジノと競争して勝てるとは思わない」と述べ、いま売却を進めなくては将来的に公営カジノの来場者が減少していく可能性が高いとの見解を示した。
また、現状ではカジノの規制当局であるPAGCORが規制対象を運営するといういびつな形であることから「民間に売却することで、PAGCORが現状で陥っている利益相反の状態が解消することになる」と強調した。
ただし、合弁事業による運営を行っているカジノについては、契約形態が多岐にわたっているため、最終的にすべての売却を完了するまでには数年を要する見通しだという。