大阪IRの建設予定地である夢洲の不動産鑑定額が4社中3社で一致していることについて、大阪市議会で問題視する声が上がっています。
これに対し大阪市港湾局は、「鑑定額は偶然の一致であり問題はない」としています。
大阪IRでは、事業者である「大阪IR株式会社」に約35年にわたり夢洲の土地を貸し出す予定としています。
夢洲の賃料について、大阪市は4社の不動産鑑定業者に鑑定を依頼。
4社中3社が月額賃料を428円と鑑定し、土地の価格や利回りも一致する結果となりました。
しかし、土地の評価額は鑑定士によってバラつきがあるのが常識とされており、3社の鑑定額が一致するのは不自然であることから、大阪市側が業者へ恣意的な誘導を行ったのではないかという声が相次いでいます。
また、IR用地全体の5分の1ほどがホテル用地となり、隣には大阪メトロの新駅が設置されるにも関わらず、鑑定された賃料が不当に安いという指摘も。
これに対し、鑑定業者は「IR誘致の実績がなく鑑定の参考額がないため、IR計画を考慮せずホテルより価値が低い大規模商業施設が建つ想定で敷地全体を評価した」としていますが、市議会からは「事業者への優遇ではないか」という疑問の声も出ています。
土地を所管する大阪港湾局は記者団に対し、4社中3社が出した鑑定額について「偶然の一致」と説明。
業者への誘導などはなく、「ちゃんと確認の手続きを踏んでやっているので問題はない」としています。
松井一郎市長は12月15日の定例会見で、「そのエリアを開発して、そこに人が集まる拠点になれば需要と供給のバランスで土地価格は上がりも下がりもする。その土地の魅力を作るために今IRをやっているが、最初の基本となるときは鑑定士に判断してもらうしかない」とし、鑑定業者については「長い大阪市の歴史の中で信頼がある鑑定事務所や、ずっと付き合いのある鑑定事務所に依頼した」と話しました。
依頼した4社以外にIRを考慮した鑑定が可能な業者もあったのではないかという質問については、「初めて依頼する業者に条件を変えて鑑定額を出してもらうのは、正確な鑑定額になるのか。同じ条件の中で信頼できる業者と協議する方が、正確な土地評価額が出ると判断した」と述べました。
また、松井市長は鑑定業者に対し恣意的な誘導などの問題が発覚した場合は「来年分の報酬をすべて返上する」としています。