大阪府・市と長崎県が国へ申請を行っているIR区域認定について、観光庁は年内の認可は難しいとの考えを示しました。
審査の長期化には、大阪IR建設予定地の土壌問題が関連しているとみられています。
観光庁は12月8日に国会内で開かれた会合にて、IR区域認定の時期について「年内に認定の可否を判断するのは厳しい」と説明しました。
大阪・長崎ともに2022年秋頃には審査結果が出ると見込んでおり、2023年春以降に工事の着手を予定していたため、開業時期への影響も考えられます。
現在、国は有識者で構成される審査委員会で大阪・長崎から提出された区域整備計画の審査を行っていますが、具体的な認定時期については定めていません。
また、「中立性を確保するため、区域整備計画の認定に関する審査委員会の会議は非公開」としているため、審査状況についても明らかになっていない状況です。
国の認定審査が長引いている原因として、大阪の土壌問題が挙げられます。
大阪IRの建設予定地である夢洲は大阪湾の浚渫土砂などによる埋め立て地で、基準値を超える有害物質の検出や地盤沈下、液状化などのリスクが指摘されています。
これらの問題を受け、大阪市は夢洲の土壌対策費として約790億円の支出を決定。
さらに11月には国からの求めに応じ、具体的な解決策や時期などを示した資料の追加提出も行っています。
現在、国は土壌や地盤に詳しい有識者を審査委員会に加え、土壌対策のほか地盤沈下の程度に過小評価がないかといった技術的な確認も行っているとしています。
しかし、松井一郎大阪市長は審査状況について「聞いているのは専門家を入れて地盤について慎重に審査しているということだけ」とコメント。
吉村洋文大阪府知事も「国から正式な認定時期の連絡はない。僕としては今年の春に申請しているから、速やかに認定してもらいたい」と述べるなど、詳細な状況に関しては把握していないことを明かしています。
大阪府・市のIR担当部局は「今すぐ開業時期に影響があるわけではない」としていますが、認定が遅れることで今後のスケジュールへの影響は避けられないとみられています。