マカオ政府統計調査局は11月25日、今年(2022年)8~10月期の雇用統計を公表。総体失業率が3.9%、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者、いわゆるローカル)に限った失業率は5.0%だった。
前回調査(今年7~9月期)から総体失業率が0.1ポイント(pt)、ローカルに限った失業率が0.2ポイントのそれぞれ下落(良化)。不完全雇用率は10.0ポイントの大幅下落となる6.5%に。
マカオでは現在まで中国本土に倣ってゼロコロナ政策が堅持されており、流行が長期化する中、ローカルの失業率は過去最悪だった前々回調査から2回連続で改善が続いたものの、依然としてリーマンショックの影響があった2009年以来の高水準が続く状況。前々回調査で過去最悪を記録した要因として、6月中旬から8月初頭にかけて新型コロナ(オミクロンBA.5)のアウトブレイクが発生し、準ロックダウンを含む極めて厳格な防疫措置が講じられたことと新卒者の労働市場への投入時期が重なったことが挙げられる。
今年8~10月期のマカオ居住の労働人口は37.77万人、労働参加率は68.9%。就業人口は前回調査から横ばいの36.30万人、マカオ居民に限ると900人増の28.09万人。業界別の就業者数動向は、小売業とカジノ・カジノ仲介業で増、不動産、ビジネスサービス業では減だった。
失業人口は前回調査時から500人減の1.47万人。新たな職を探す失業者については、直前までカジノ・カジノ仲介業と建設業に従事していた人の数が多くを占めた。失業人口の中で初めての職探しをする人が占める割合は1.3pt上昇の14.4%。
不完全就業者数は3.81万人減の2.44万人。上述の準ロックダウンにより一時休業や営業規模の縮小が発生したカジノ・カジノ仲介業、ホテル・飲食業、小売業従事者が依然多くを占めるかたちとなった。
前年同時期との比較では、不完全雇用率、総体失業率、労働参加率が2.0pt、1.1pt、0.3ptのそれぞれ上昇。
就業調査の統計対象はマカオ半島、タイパ・コロアン島にある住宅の居住者(学生寮や高齢者入所施設等のグループホームを除く)で、域外からマカオへ越境通勤するマカオ居民及び海外労働者は含まれない。出入境資料を元にマカオ居民及び海外労働者の越境通勤者数は約8.71万人と推計され、これを含むマカオの総労働力は前回調査から300人減の46.48万人。
マカオで雇用の調整弁となっているのは海外労働者で、コロナ禍で厳しい経済情勢の中、マカオ政府労工局(DSAL)はマカオ居民の雇用の継続と優先就業を確保するため海外労働者数の調整を行っていることを明らかにしている。DSALの最新統計によれば、今年9月末時点における海外労働者数は15万3841人で、前月末から191人、前年同月末から1万7577人のそれぞれ減だった。このところ減少傾向が続いている。
また、DSALは23日に発出したプレスリリースの中で、昨今の就業状況の変化を注視しており、ジョブマッチングやジョブフェアの開催、職業訓練等の実施などを通じて、マカオ居民の就業サポートに継続的に取り組んでいるとした。今年1~11月にかけて128回のジョブマッチング機会の提供などを通じ、マカオ居民5762人の就職をサポートしたとのこと。新型コロナの影響が生じた2020年以降の累計では延べ1万2968人に上った。