海外のリゾートホテルにはカジノが併設されていることがあります。きらびやかなネオンサインや豪華なインテリアで、まるで映画のワンシーンを見ているような魅力的な場所です。 もし、そこで大勝ちし、大金を得ることになったら、税金はどうなるのでしょうか。この記事では、海外のカジノで収益を得た場合の税金について考えていきます。
海外で収益を得た場合はどこに納税すべきか?
税金を徴収する権利のことを「課税管轄権」といいます。例えば、日本国籍を持つ人や日本に居住する外国人が、「日本国内で」所得を得たときには、課税管轄権は日本国にあるので問題ありません。 これは「居住地管轄」という課税管轄として処理されます。もし、そのような人たちが外国で所得を得たときには、もうひとつの考え方も有効です。それは「源泉管轄」と呼ばれ、課税対象となる場所の経済活動や財産の所有は、その発生場所(源泉地国)で課税されるべきという考え方です。 例えば、日本国籍を持つ人がアメリカのカジノで大金を得た場合、「居住地管轄」の考え方では日本で納税することになり、「源泉管轄」であればアメリカで納税することになります。この問題について国税庁は、「どちらを優先すべきかについては判断が難しい」という立場をとっています。
日本の国際課税の考え方
日本の所得税法および法人税法にみられる課税制度では、国内であろうと国外であろうと、発生した場所に関わらず所得を申告しなければなりません。つまり、世界中のどこで収益を得ようと、日本での税負担義務が発生します。 これは「全世界所得課税主義」と呼ばれるものです。しかしながら、外国で所得が発生したときに、その国で課税される場合もあるでしょう。このとき、日本の全世界所得課税主義を適用すると、「国際的二重課税」の問題が起こります。 つまり、外国ですでに税金を納めたにもかかわらず、日本に帰ったときにさらに課税されてしまうのです。この状況を避けるために、すでに現地で納税が済んだ分については「外国税額控除方式」が採用されています。
カジノの収益は一時所得
カジノで大金を得た場合、その場で徴税される場合があります。例えば、現地通貨を日本円に換金する際に、自動的に税金分が差し引かれるようなケースです。これは、源泉管轄によって納税は終わっているため、帰国後に改めて納税する必要はありません。 ただし、源泉管轄による徴税は、スロットマシンなどによる所得に限られることが多いといわれています。ポーカー、ブラックジャック、バカラなどについては徴税されないことも多く、その場合は日本で納税する義務が発生します。 このとき、確定申告で処理しますが、所得の種類は「一時所得」となり、特別控除額は50万円です。つまり、ある年度内に得たカジノの勝ち金が50万円未満であれば、申告は「不要」となります。
勝ったときの申告は適正に
カジノでの収益は、基本的に自己申告なので、黙っていればそのままになるのが現実です。しかし、だからといって申告が必要な金額以上の勝ち金を得たときに、申告していなければ「脱税」となるのです。 もし、別件で税務調査が入ったときに問題となれば、無申告加算税や延滞税などを払う必要が出てきます。ですから、カジノで大きく勝ったときには、適正な納税と確定申告をお勧めします。
出典 国税庁 国際課税のあり方と今後の課題について
国税庁 No.1490 一時所得
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部