政府は、競馬や競輪などの公営ギャンブルの禁止年齢について、現行の20歳未満に据え置く方針を固めた。
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正が行われた場合の対応で、若者のギャンブル依存症などの危険性を考慮し、現行の禁止年齢が適切だと判断した。政府は成人年齢を引き下げる民法改正案を秋の臨時国会に提出する考えで、公営ギャンブルの禁止年齢を据え置く法案も一緒に提出したい考えだ。
国内では現在、競馬、競輪、競艇、オートレースの4競技が公営ギャンブルとして認められている。公営ギャンブルは競馬法、自転車競技法など競技別に設けられた根拠法によって、未成年者は馬券や車券を購入したり、譲り受けたりすることが禁じられている。パチンコはこれとは別で、現行の風俗営業法で18歳から利用できることになっている。
上川陽子法相は4日の閣議後記者会見で、民法の成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げるための改正案について「なるべく早い時期に提出すべく、全力で取り組みたい」と述べ、秋の臨時国会に提出する意向を示した。法務省は、女性の婚姻年齢の下限を、現行の16歳から男性と同じ18歳に引き上げる規定も改正案に盛り込む方針。
成人年齢引き下げで、18、19歳が親などの法定代理人の同意なくローンやクレジットカードなどの契約が結べるようになる。法務省は先の通常国会での改正案提出を目指していたが、「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法が優先され、見送られていた。
成人年齢の引き下げを巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)が2009年に「18歳に引き下げるのが適当」と答申。15年6月には選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が成立し、自民党の特命委員会も15年9月、成人年齢を18歳に引き下げる提言をまとめていた。