先週、豊洲新市場の「地下空間」にたまった地下水から、基準値を超える有毒物質のヒ素とベンゼンが検出された。もともと築地の水産仲卸業者の8割以上が移転に反対しているだけに、もはや豊洲を食品市場にするのは難しいのではないか。小池都知事がいつ、「移転中止」を決断してもおかしくない。早くも豊洲市場跡地の用途として、「カジノ建設」の話が流れ始めている。
いわゆる「カジノ法案」と呼ばれる「統合型リゾート(IR)整備推進法案」は、2014年の国会で廃案になったが、今国会で再び審議入りし、成立する機運が高まっている。
「自民党にとって、東京五輪後の景気浮揚策が至上命令となっています。それでカジノ誘致というわけです。安倍首相が“成長戦略”に掲げていたこともあって、自民党の二階幹事長、細田総務会長、菅官房長官など政権中枢がカジノ法案成立に動いています。政府が25年の誘致を目指す大阪万博との相乗効果を期待する声もあり、成立の可能性が高いといえます」(永田町関係者)
小池知事も国会議員の時はカジノ議連に所属していた推進派。都知事選の最中もカジノ賛成を聴衆に呼びかけていた。そこで、カジノ第1号の候補地のひとつとして豊洲市場の跡地が急浮上しているという。当初、有力視されていたお台場は、カジノに消極的な舛添前知事が都用地を外資系企業に貸与してしまい、計画が頓挫。建築の専門家から見ても、豊洲はカジノ用地に最適らしい。
建築エコノミストの森山高至氏がこう言う。
「私は取り立ててカジノ推進派というわけではありませんが、豊洲へのカジノ誘致は合理的だと考えます。例えば、外資系のカジノ運営会社などに用地を貸与し、ホテルやカジノ場を建設してもらえば、都の負担はほとんどない。豊洲市場に費やされたムダな税金約6000億円のうち、土地の賃料だけでどれだけ回収できるか分かりませんが、コスト削減にはつながると思います。土壌汚染対策が不十分な今の市場予定地は生鮮食品を扱うのには適していませんが、レジャー施設なら深刻な問題にはならないでしょう」
小池知事が、カジノに関心を示している有力企業のひとつである「セガサミーホールディングス」と近いことも、臆測を呼んでいる。
「セガサミーの里見治会長は小池知事の有力支援者です。しかも、セガサミーは安倍首相とも近い。3年前、里見会長の娘の結婚式には安倍首相が出席しています」(関係者)
大手通販会社が豊洲市場跡地を物流倉庫にしようとしているという噂もある。豊洲市場の「白紙」を前提とした話がどんどん出ている状況だ。