「カジノの都」を狙うマニラ 日系企業が新リゾート

「カジノの都」を狙うマニラ 日系企業が新リゾート、マカオと中国人客の争奪戦へ

日本の娯楽機器大手ユニバーサルエンターテインメントが11月、フィリピンの首都マニラでカジノリゾート「オカダマニラ」を開業する。総工費40億ドル(約4239億円)を投じ、中国本土客などを誘致する計画だ。世界最大のカジノ都市、マカオとマニラの間で、首位の座をかけた顧客争奪が本格化する。

 ◆豪華施設で対抗

同社傘下のタイガー・リゾート・レジャー・アンド・エンターテインメントの臼井孝裕最高執行責任者(COO)は20日までにマニラでインタビューに応じ、噴水や屋内ビーチなどの豪華な施設を武器に、マカオやアジアの他地域のカジノに対抗する考えを明らかにした。40億ドルの投資額はユニバーサルの時価総額(約1900億円)の2倍超に相当する。

同氏は、新リゾートの開業を機に、マニラが世界的な観光地に昇格すると、期待を寄せている。中国政府による汚職取り締まりを受けて高額の賭けを楽しむ中国人顧客のマカオ離れが進む中、マニラはアジアにおける新たなカジノ拠点となることを目指している。

フィリピンはアジアのカジノ・観光収入のシェア拡大に向け、「エンターテインメント・シティ」と称されるマニラ湾沿いの120ヘクタールの土地に計4施設のカジノリゾート建設を予定しており、ユニバーサルのプロジェクトもその一つだ。

フィリピンのテレビ局ABS-CBNによると、フィリピンのドゥテルテ大統領は19日、表敬訪問したユニバーサルの岡田和生会長と会談。新リゾートに対するフィリピン側の期待をうかがわせた。

香港の投資銀行、CLSAのアナリスト、マーカス・リウ氏は19日、「フィリピンのカジノ業界は4~6月期で過去最高の業績を達成するだろう。賭博規制が強化される中で(ライバルの)マカオを去るギャンブラーが増えている。多額の投資はフィリピンのカジノ市場に対する岡田氏の自信の現れだ」と語った。

 ◆巨額投資2年で回収

オカダマニラはエンターテインメント・シティで開業するカジノとしては3番目で、フィリピンの富豪、エンリケ・ラソン氏が手掛ける「ソレア」、マカオのカジノ運営大手メルコ・クラウン・エンターテインメント(新濠博亜娯楽)とフィリピン一の富豪のヘンリー・シー氏の合弁事業が開発した「シティ・オブ・ドリームス・マニラ」と競うことになる。

2020年の10~12月期にはフィリピンの富豪、アンドリュー・タン氏とマレーシアの富豪、林国泰氏の共同プロジェクトが4番目のプロジェクトとして開業予定だ。

オカダマニラの入場者は、初めは30%が外国客で、70%は地元客になる見通し。臼井氏は、旅行代理店やカジノプロモーターへの宣伝活動を行うことで、開業の1年後には中国や日本、韓国などからの外国人入場者が5割を占めることを目指していると語った。

マニラのプロジェクトにおける岡田氏の現地パートナー、アントニオ・コファンコ氏は、岡田氏がフィリピンの他の場所でもリゾートの建設を計画しており、オカダマニラはその足がかりになると説明。同国南西部のパラワン島や南部ミンダナオ島のダバオで候補地を選定中だと明かし、2年以内に開発が開始される見通しだと語った。

コファンコ氏によると、岡田氏は最大2年で投資額を回収できる可能性があり、予想通りの売り上げがあれば1年半後には株式の公開を予定している。(ブルームバーグ Ian Sayson)